不妊治療で「もう希望が持てない」と感じたときの心の守り方【臨床心理士解説】

心の守り方
心の守り方

「もう、これ以上期待したくない」
「希望を持つのが怖くなってきた」
「頑張っても意味があるのかわからない」

不妊治療を続ける中で、こんな気持ちにたどり着く方は少なくありません。
そして多くの方が、“希望を持てない自分”を責めてしまいます。

でも、最初にお伝えしたいことがあります。

不妊治療で「もう希望が持てない」と感じるのは、
心が弱いからでも、前向きさが足りないからでもありません。

それは、ここまで本気で向き合ってきた心が、
自分を守ろうとして出しているサインでもあるのです。

この記事では、臨床心理士の立場から

  • なぜ不妊治療中に「希望が持てない」と感じるのか
  • その状態が続くとき、心の中で何が起きているのか
  • 希望を無理に持たなくてもできる「心の守り方」

を、わかりやすくお伝えします。


不妊治療で「もう希望が持てない」と感じる理由

① 期待と失望を何度も繰り返してきたから

不妊治療は、
「もしかしたら」「今度こそ」という希望と、
「やっぱりダメだった」という結果を、何度も行き来します。

この期待と失望の繰り返しは、心に想像以上のダメージを与えます。

希望を持つたびに傷つく経験が続くと、
心は次第にこう学習していきます。

希望を持たなければ、傷つかずにすむのではないか

希望が持てなくなるのは、
これ以上傷つかないための防衛反応でもあるのです。


② 先が見えない不安に、心が疲れ切っている

不妊治療には、明確な「ゴール」がありません。

  • いつ終わるのかわからない
  • どこまで頑張ればいいのかわからない
  • やめどきも正解がない

この状態が長く続くと、
心は常に緊張したまま走り続けることになります。

「希望を持とう」とするエネルギーさえ、
もう残っていない――
そんな状態になってしまうことも、決して珍しくありません。


③ 周囲とのギャップが、希望を削っていく

友人の妊娠報告、SNSで流れてくる幸せそうな投稿。
頭では「比べても仕方ない」とわかっていても、
心は簡単には追いつきません。

  • 自分だけ取り残されている感覚
  • どこまで頑張れば、同じ場所に行けるのかわからない不安

こうした感覚が積み重なると、
「もう希望を持つのがつらい」という気持ちに変わっていきます。


「希望が持てない」状態は、悪いことではありません

ここで、とても大切なことをお伝えします。

希望が持てない=絶望、ではありません。

むしろそれは、

  • 無理に前向きになろうとするのをやめ
  • これ以上自分を消耗させないために
  • 心がブレーキをかけている状態

とも言えます。

「希望を持たなきゃ」と自分を追い込むほど、
心はさらに疲れてしまいます。

今は、希望を持てない自分を否定しないことが、
いちばんの心のケアになることもあります。


不妊治療で心を守るためにできること【心理士の視点から】

① 希望を“持たなくてもいい時期”があっていい

希望は、常に持ち続けなければならないものではありません。

  • 今日は考えない
  • 今は結果を期待しない
  • ただ治療を「こなす」だけの日があってもいい

希望を一時的に手放すことは、
あきらめることとは違います。

それは、心の体力を回復させるための選択です。


② 「本当は何がつらいのか」を言葉にしてみる

「希望が持てない」という言葉の奥には、
別の感情が隠れていることがよくあります。

  • もう疲れた
  • 頑張り続けるのが怖い
  • 期待する自分を守れない

紙に書いても、心の中で整理するだけでも構いません。
感情を言葉にすると、心は少し落ち着きを取り戻します。


③ 未来ではなく「今日」を小さくする

「この先どうなるんだろう」と考え続けるほど、
希望は遠く感じられてしまいます。

そんなときは、

  • 今日一日をどう過ごすか
  • 今日、少し楽になることは何か

に焦点を戻してみてください。

未来を考えないことは、逃げではありません。
今を守るための大切な選択です。


④ 誰かの言葉を“正解”にしなくていい

「前向きに考えよう」
「きっと大丈夫」
そうした言葉が、つらく感じるときもあります。

それはあなたが間違っているのではなく、
今の心に合っていないだけです。

自分の心に合わない言葉は、
無理に受け取らなくて大丈夫です。


⑤ 専門家と一緒に、心の整理をするという選択

不妊治療は、身体だけでなく、
心にも長期的な負荷がかかるプロセスです。

  • 希望が持てない
  • 気力が湧かない
  • 何を考えているのかわからなくなってきた

そんなとき、誰かと一緒に気持ちを整理することで、
心は少しずつ呼吸を取り戻します。

「相談するほどでもない」と思わなくて大丈夫。
それ自体が、十分なサインです。


最後に|希望が持てなくなったあなたへ

不妊治療で「もう希望が持てない」と感じるほど、
あなたはここまで、本気で向き合ってきたということです。

今は、
前を向けなくてもいい。
元気にならなくてもいい。

まずは、自分の心を守ることを最優先にしていいのです。

希望は、取り戻そうとしなくても、
心が少し回復したときに、自然と戻ってくることもあります。

あなたのペースで、大丈夫です。

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