「妊活と仕事、両立できない…」限界を感じた時に考えたい3つの選択肢

「仕事も妊活も、どちらも大切。でも、もう限界かもしれない……」

「今日も病院から電話が来るかもしれない。」

そう思うだけで、仕事に集中できなくなる日がありませんか。

採血の結果によって急な受診が必要になったり、採卵や胚移植の日程が直前まで決まらなかったり。不妊治療は、自分の予定だけでは進められない医療です。

一方、仕事では会議や締め切り、取引先との約束など、自分の都合だけでは動かせない予定があります。

この二つを同時に抱える毎日は、想像以上に大きな負担になります。

「また早退しなければならない……」

「職場に迷惑をかけてしまっている。」

「仕事も治療も中途半端になっている気がする。」

そんな気持ちから、自分を責め続けている方も少なくありません。

私は臨床心理士・公認心理師として、不妊治療中の方のお話を伺うなかで、

「頑張りたいのに頑張れない自分が嫌です。」

「仕事を辞めたい。でも辞めたら後悔しそうで決められません。」

という声を何度もお聞きしてきました。

もし、あなたも同じように感じているなら、まず知っていただきたいことがあります。

妊活や不妊治療と仕事の両立が難しいのは、決してあなたの努力不足ではありません。

この記事では、不妊治療と仕事を両立することがなぜこれほど難しいのか、限界を感じたときに考えたい選択肢、そして自分らしい選択をするためのヒントを、心理学と公的な情報をもとに解説します。


妊活・不妊治療と仕事の両立は、なぜこんなに難しいのでしょうか?

「もっと上手に予定を調整できれば……」

「私の段取りが悪いだけかもしれない。」

そう思ってしまう方もいます。

しかし、不妊治療には、仕事との両立を難しくする「治療そのものの特徴」があります。

例えば、

  • 排卵やホルモン値に合わせて受診日が決まる
  • 採卵や胚移植の日程が直前まで確定しない
  • 採血結果によって治療計画が変更になる
  • 通院後に体調が優れない日がある

など、自分ではコントロールできないことが少なくありません。

一方、職場では、

  • 急な休みを取りにくい
  • 会議やシフトを変更しづらい
  • 周囲への説明が難しい
  • 「また休むの?」という視線が気になる

といった現実があります。

つまり、不妊治療と仕事は「どちらも予定どおりに進まない」という特徴があり、その間で板挟みになってしまう方が多いのです。


あなただけではありません|厚生労働省の調査でも分かっていること

「こんなにつらいのは私だけなのかな……」

そう感じる方もいるかもしれません。

しかし、厚生労働省が公表している「不妊治療と仕事の両立支援」に関する調査では、多くの方が同じような悩みを抱えていることが報告されています。

例えば、

  • 不妊治療と仕事の両立が難しかったと感じた人は少なくありません。
  • 治療と仕事を両立できず、離職や雇用形態の変更を経験した人もいます。
  • 一方で、勤務先に十分な支援制度があると回答した人は限られており、制度があっても利用しづらいという声もあります。

つまり、「両立できない」と感じることは、個人の問題ではなく、社会全体の課題でもあるのです。

だからこそ、「私が弱いから」「もっと頑張れば何とかなるはず」と、自分だけを責める必要はありません。


「頑張りが足りない」と思ってしまう心理

相談室では、こんなお話をよく伺います。

「職場には子育てしながら働いている人もいるのに、私は妊活だけでこんなにつらいなんて……。」

「もっと頑張れる人もいるのに、自分は弱い気がします。」

こうした気持ちの背景には、**「社会的比較」**という心の働きがあります。

私たちは、無意識のうちに周りの人と自分を比べてしまいます。

特にSNSでは、妊娠報告や仕事で活躍する人の投稿が目に入りやすく、

「みんなはうまくやれているのに、私は……」

と感じてしまうことがあります。

しかし、本当に比べられる人はいません。

仕事内容も、治療内容も、体調も、職場環境も、支えてくれる人も、一人ひとり違います。

だからこそ、「あの人はできているから、私もできるはず」と考えること自体が、自分を苦しめる原因になることがあります。


相談室でよくあるご相談

実際のカウンセリングでは、このようなお話を伺うことがあります。

  • 「判定日が近づくと、仕事に集中できません。」
  • 「会議中に病院から電話が来るのではないかと、スマホが気になってしまいます。」
  • 「職場で妊娠報告があるたびに、お祝いしたい気持ちと苦しい気持ちが混ざってしまいます。」
  • 「有給休暇が通院でなくなり、旅行にも行けなくなりました。」
  • 「毎日『辞めたい』と思うのに、決断できません。」

こうした悩みは決して珍しいものではありません。

多くの方が、「仕事を続けたい」という気持ちと、「治療を優先したい」という気持ちの間で揺れています。

その葛藤は、どちらかを諦めれば簡単に解決する問題ではないからこそ、苦しくなるのです。

「もう限界かも…」心が出しているサイン

「まだ頑張れる。」

そう思いながら毎日を過ごしていても、心や体は少しずつ疲れをため込んでいることがあります。

不妊治療と仕事を両立している方は、とても責任感が強く、「周りに迷惑をかけたくない」という思いから、自分の限界に気づきにくい傾向があります。

ここでは、心が「少し休んでほしい」と伝えているサインをご紹介します。


① 朝、仕事へ行くことを考えるだけで気持ちが重い

以前は普通に出勤できていたのに、

  • 朝になると涙が出る
  • お腹が痛くなる
  • 動悸がする
  • ベッドから起き上がれない

そんな変化が続いていませんか。

これは「怠け」ではなく、心と体が強いストレスを感じているサインかもしれません。


② 病院からの電話やメールに強い緊張を感じる

相談室では、

「仕事中でも病院から電話が来るのではないかと落ち着きません。」

というお話をよく伺います。

採卵や胚移植の日程は急に決まることも多く、仕事との調整が必要になるため、「電話が鳴るだけで心臓がドキッとする」という方も少なくありません。

こうした反応は、不安が積み重なっているときによくみられます。


③ 判定日が近づくと仕事に集中できない

「もし今回もだめだったら…」

そんな思いが頭から離れず、仕事に集中できなくなることがあります。

集中力が落ちるのは、意志が弱いからではありません。

脳は不安を感じると、そのことを優先して考え続ける性質があります。

そのため、大切な会議や仕事中でも、気持ちが治療へ向いてしまうことがあるのです。


④ 「辞めたい」が毎日のように頭に浮かぶ

「もう仕事を辞めようかな。」

そう考えること自体は珍しいことではありません。

しかし、

  • 毎日退職のことばかり考えている
  • 涙が出るほど苦しい
  • 眠れない日が続く

という状態であれば、一人で抱え込まず、誰かと一緒に整理する時間を持つことも大切です。


⑤ 自分を責める気持ちが止まらない

「私がもっと頑張れば…」

「仕事も治療もできないなんて情けない。」

こうした自己否定が続くと、心はさらに疲れてしまいます。

心理学では、強いストレスを受けると、自分に対して必要以上に厳しく評価してしまうことがあります。

まずは、「ここまでよく頑張ってきた」と、自分自身の努力を認めることも大切です。


セルフチェック|こんな状態が続いていませんか?

次の項目に当てはまるものはありますか?

  • □朝、会社へ行くことを考えるだけで憂うつになる
  • □ 病院からの連絡が怖い
  • □判定日が近づくと眠れない
  • □通院のことばかり考えてしまう
  • □「辞めたい」と何度も考える
  • □ 職場で笑顔を作ることに疲れた
  • □涙が出る日が増えた
  • □自分を責めることが多い
  • □食欲や睡眠に変化がある
  • □この状態が2週間以上続いている

いくつか当てはまるからといって、必ず心の病気というわけではありません。

ただ、「今の自分はかなり頑張っている」と気づくきっかけにしてみてください。


限界を感じたときに考えたい4つの選択肢

「仕事を辞めるしかない。」

そう思っていても、実際には他の選択肢があることも少なくありません。

ここでは、相談室でも一緒に整理することが多い4つの選択肢をご紹介します。


① 働き方を見直す

まず確認したいのが、現在の職場で利用できる制度です。

例えば、

  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤
  • テレワーク
  • 時間単位の年次有給休暇
  • 不妊治療休暇(導入企業のみ)

など、治療と仕事を両立しやすくする制度が用意されている場合があります。

「制度はあるけれど使いにくい」と感じる方もいますが、まずは就業規則や人事担当者に確認してみることも大切です。


② 必要な人だけに事情を伝える

すべての人に話す必要はありません。

ただ、上司や人事担当者など、勤務調整に関わる方へ必要な範囲で伝えることで、働きやすくなることがあります。

例えば、

「現在、通院を伴う治療を受けています。急な受診が必要になる場合がありますので、ご相談させてください。」

このように、病名や詳しい治療内容まで話さなくても、状況を共有する方法はあります。


③ 「辞める・続ける」を一人で決めない

「辞めたら後悔するかも。」

「続けても限界かもしれない。」

そんなときは、一人で結論を出そうとしないことが大切です。

パートナーや信頼できる人、心理士など第三者と話すことで、自分でも気づいていなかった気持ちが整理されることがあります。


④ 人生全体で考えてみる

「仕事を辞める=失敗」

ではありません。

一方で、

「仕事を続ける=正解」

とも限りません。

大切なのは、

今の自分にとって何を一番大切にしたいのか。

その価値観に沿って選択することです。

心理学には「価値に基づく行動(ACT)」という考え方があります。

周囲の期待ではなく、自分が大切にしたい人生に沿って選択することで、後悔の少ない決断につながることがあります。


心理士から伝えたいこと

相談に来られる方から、

「もっと頑張ればよかったのでしょうか。」

と聞かれることがあります。

私は、そのたびにこうお伝えしています。

「十分すぎるほど頑張ってこられたからこそ、今ここで苦しくなっているのだと思います。」

妊活や不妊治療と仕事を両立することは、想像以上にエネルギーを使います。

だからこそ、「立ち止まること」も、前に進むための大切な選択です。

あなたがこれからどんな道を選ぶとしても、その選択が「周りの期待」ではなく、「あなた自身が納得できるもの」であってほしいと願っています。


よくある質問

Q. 不妊治療を理由に仕事を辞める人は多いですか?

厚生労働省の調査では、不妊治療と仕事の両立が難しく、離職や雇用形態の変更を経験した方が一定数いることが報告されています。一人だけの悩みではありません。

Q. 上司に妊活のことを伝えた方がいいですか?

勤務調整が必要な場合は、信頼できる上司や人事担当者へ必要な範囲で伝えることで、働きやすくなることがあります。詳しい治療内容まで話す必要はありません。

Q. カウンセリングではどんな相談ができますか?

仕事を辞める・続けるという結論を決める場ではありません。気持ちを整理し、自分にとって納得できる選択を一緒に考える場です。

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よくあるご質問

Q. 初めてでも大丈夫ですか?
A. はい。初回は不安や疑問を丁寧にお伺いしながら進めます。お気軽にご相談ください。

Q. 対面とオンライン、どちらを選べますか?
A. ご希望に応じてお選びいただけます。オンラインはZoomまたはGoogleMeetで対応しています。

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