2人目不妊とは?原因・受診の目安・治療と心の悩みを解説
「1人目は自然に授かったのに、2人目はなかなか妊娠しない」
「すでに子どもがいるのに、つらいと言ってもよいのだろうか」
このような悩みを抱える方は少なくありません。一般に、1人目の妊娠・出産後に次の子どもを望んでも妊娠に至らない状態は、「2人目不妊」と呼ばれています。
1人目を妊娠できた経験があっても、その後の年齢や身体の状態、パートナーの精液所見などは変化します。そのため、「一度妊娠できたから今回も大丈夫」とは限りません。一方で、妊娠しない原因が本人の努力不足や、気持ちの持ち方にあるわけでもありません。
この記事では、2人目不妊の意味、考えられる原因、受診の目安、検査・治療の進め方に加え、1人目の育児をしながら治療する方に起こりやすい心の悩みについて、臨床心理士・公認心理師の視点から解説します。

2人目不妊とは?
「2人目不妊」は日常的に使われる言葉で、厳密な医学用語ではありません。一般には、1人目の妊娠・出産後、次の妊娠を望んで一定期間妊娠に至らない状態を指します。
関連する医学用語に「続発性不妊(secondary infertility)」があります。世界保健機関(WHO)は、過去に少なくとも一度妊娠したことがある人の不妊を続発性不妊としています。過去の妊娠が出産に至ったかどうかを問わないため、「2人目不妊」と「続発性不妊」は完全に同じ意味ではありません。
| 言葉 | 一般的な意味 |
|---|---|
| 2人目不妊 | 1人目の出産後、次の子どもを望んでも妊娠に至らない状態を表す通称 |
| 原発性不妊 | これまで一度も妊娠したことがない人の不妊 |
| 続発性不妊 | 過去に妊娠したことがある人の不妊。過去の妊娠が出産に至ったかどうかは問わない |
WHOは不妊症を、一般に「避妊せず定期的な性交があるにもかかわらず、12か月以上妊娠に至らない状態」と定義しています。ただし、受診まで必ず1年間待つ必要があるわけではありません。
2人目を考えたら、いつ受診すればよい?
受診の目安は、1人目を授かるまでにかかった期間ではなく、現在の年齢や月経の状態、既往歴などから考えます。
- 女性が35歳未満:妊娠を希望して1年たっても妊娠しない場合
- 女性が35歳以上:6か月たっても妊娠しない場合
- 女性が40歳を超えている場合:待たずに早めの相談を検討
また、次のような場合は期間にかかわらず、早めに産婦人科や生殖医療を扱う医療機関へ相談することが勧められます。
- 月経不順や無月経がある
- 強い月経痛があり、子宮内膜症などを指摘されたことがある
- 卵管や子宮、卵巣の病気・手術歴がある
- 骨盤内感染症の既往がある
- 男性側に精巣の病気や手術歴、性機能の悩みなどがある
- 1人目の妊娠にも治療が必要だった
「まだ半年しかたっていないから」と迷う場合でも、検査や相談だけ受けることはできます。受診したからといって、すぐに体外受精を始めなければならないわけではありません。
受診時期をさらに詳しく知りたい方は、妊活中に知っておきたい「不妊治療へ進むタイミング」も参考にしてください。
1人目は妊娠できたのに、なぜ2人目はできにくいの?
2人目不妊の原因は一つとは限りません。女性側・男性側の要因が重なることもあれば、検査をしても明確な原因が分からないこともあります。
年齢による妊娠しやすさの変化
1人目の妊娠から数年たつ間に、夫婦とも年齢を重ねます。特に女性の妊娠する力は年齢とともに低下し、35歳を過ぎるとその低下が速くなるとされています。これは主に、加齢に伴って卵子の数が減り、染色体の数に異常のある卵子の割合が増えるためです。
これは本人の生活や努力の問題ではなく、生物学的な変化です。1人目を短期間で授かった場合でも、数年後の妊娠しやすさは同じとは限りません。
排卵・卵管・子宮などの変化
排卵障害、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵管の閉塞や癒着などが妊娠に影響する場合があります。これらは1人目の妊娠前にはなかったり、当時は妊娠への影響が小さかったりすることがあります。
帝王切開の傷や出産後の感染などが関係するケースもありますが、帝王切開を経験した人が必ず妊娠しにくくなるわけではありません。必要な検査は、出産歴や症状を確認したうえで医師が判断します。
男性側の要因
精子の濃度や運動率などは、年齢、病気、精索静脈瘤、服薬、生活習慣などの影響を受けることがあります。1人目を授かったときに問題がなかったとしても、現在の状態を確認することが大切です。
不妊は女性だけの問題ではないため、検査は夫婦・カップルで同じ時期に進めることが推奨されます。男性側の検査については、男性不妊の原因・検査・治療をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。
性交の機会を確保しにくい
1人目の育児、仕事、睡眠不足などが重なり、妊娠しやすい時期に性交の機会を持つこと自体が難しくなる場合があります。産後の体調変化、性交痛、性欲の低下、夫婦の生活時間のずれが影響することもあります。
これは「夫婦の努力が足りない」という意味ではありません。生活の現実も含めて医師に伝えることで、タイミング法や人工授精など、取り組みやすい選択肢を相談できます。
授乳中・月経が再開していない
授乳中は排卵や月経の再開が遅れることがあります。また、検査や治療に用いる薬の中には、授乳中の使用を個別に検討する必要があるものもあります。自己判断で授乳を中止したり薬を調整したりせず、産婦人科や不妊治療を扱う医療機関へ相談してください。
2人目不妊の検査は1人目のときと違う?
2人目不妊だけに行う特別な検査があるわけではありません。基本的には一般の不妊検査と同じですが、1人目の妊娠経過、分娩方法、産後の感染や手術、月経の変化なども重要な情報になります。
女性側で行われる主な検査
- 問診・内診・経腟超音波検査
- 排卵やホルモンの状態をみる血液検査
- 卵巣予備能の参考とするAMH検査など
- 卵管の通過性を調べる子宮卵管造影検査など
- 必要に応じた子宮内の検査
AMHは卵巣内に残る卵子数の目安となる検査ですが、卵子の「質」や自然妊娠の可能性を単独で判定する検査ではありません。結果は年齢やほかの検査と合わせて評価します。
男性側で行われる主な検査
基本となるのは精液検査です。精液量、精子濃度、運動率、形態などを確認します。精液所見は変動するため、結果によっては複数回検査する場合があります。必要に応じて、泌尿器科で診察、超音波検査、ホルモン検査などを行います。
2人目不妊の治療は1人目のときと違う?
2人目不妊専用の治療法があるわけではありません。年齢、不妊期間、検査結果、これまでの妊娠・治療歴、希望する家族計画などをもとに方針を決めます。
- タイミング法:超音波検査などで排卵時期を予測し、性交の時期を合わせる
- 排卵誘発:排卵が不規則な場合などに薬で排卵を促す
- 人工授精(IUI):排卵時期に合わせ、処理した精子を子宮内へ注入する
- 体外受精(IVF):採卵した卵子と精子を体外で受精させ、育った胚を子宮へ戻す
- 顕微授精(ICSI):1個の精子を卵子内へ注入して受精を図る
治療は必ずタイミング法から順番に進めるとは限りません。卵管の状態、精液所見、女性の年齢などによっては、早い段階で体外受精や顕微授精を提案されることがあります。
治療方法の違いは、不妊治療の種類と違い|タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精で詳しく解説しています。
1人目の治療で凍結した胚がある場合
1人目の治療で凍結胚が残っている場合は、その保存状況や使用の可否を治療施設へ確認します。凍結胚の移植を検討できることもありますが、現在の子宮の状態や健康状態の確認が必要です。保存期限や費用、保険診療上の扱いも医療機関へ確認してください。
2人目の不妊治療も保険適用になる?
日本では、タイミング法や人工授精、基本的な体外受精・顕微授精などが保険適用の対象です。生殖補助医療では、治療開始時の女性の年齢が43歳未満であることなどの条件があります。
胚移植の回数上限は「1子ごと」に数えられ、初めて治療計画を作成した日の女性の年齢が40歳未満なら1子につき6回、40歳以上43歳未満なら1子につき3回です。ただし、実際の適用は治療歴や治療計画によって異なるため、受診先へ確認してください。
保険の条件については、不妊治療の保険適用をわかりやすく解説も参考にしてください。
2人目不妊では「育児をしながら通院する難しさ」がある
医学的な検査や治療は1人目不妊と共通していても、生活上の負担は大きく異なります。
- 診察日が急に決まり、子どもの預け先を確保できない
- 子どもの体調不良で受診を延期せざるを得ない
- 仕事、送迎、家事と通院の予定が重なる
- 子ども同伴で受診できない医療機関がある
- 採卵や処置後に休みたくても、育児は休めない
治療を始める前に、診療時間、子ども同伴の可否、オンライン説明の有無、採卵日の預け先、パートナーや家族に頼める範囲を確認しておくと、負担を見通しやすくなります。
通いやすさを含む医療機関選びについては、初めての不妊治療クリニックの選び方もご覧ください。
2人目不妊に特有の心の悩み
2人目不妊では、「すでに1人いる」という理由でつらさを理解されにくく、自分でも悩むことをためらいやすい傾向があります。
「1人いるから十分」と言われるつらさ
「1人いるだけでも幸せでしょう」「贅沢な悩みでは?」という言葉は、本人の悲しみを小さく扱うことがあります。1人目の子どもを大切に思う気持ちと、もう1人を望む気持ちは両立します。
感謝が足りないから苦しいのではありません。周囲と比べて、自分のつらさを否定する必要もありません。
1人目の子どもへの罪悪感
通院のために預けることや、治療後に十分遊べないことに罪悪感を持つ方もいます。また、「目の前の子どもだけでは足りないと思っているようで申し訳ない」と自分を責めることもあります。
しかし、治療を受けることは、今いる子どもを大切にしていないという意味ではありません。限られた時間や体力の中で家族のことを考えているからこそ、葛藤が生じます。
きょうだいの年齢差への焦り
「3歳差にしたかった」「入園までに妊娠したい」など、思い描いていた家族計画から外れていくことが焦りにつながります。周囲の2人目妊娠や、きょうだいのいる家族を目にするたびに、取り残された感覚になることもあります。
計画を大切に思っていたからこそ、予定どおりにならないことは喪失として感じられます。すぐに気持ちを切り替えようとせず、残念さや悔しさを認めることも心の整理の一部です。
夫婦で希望や治療への温度差がある
「できることはすべて試したい」「今いる子どもとの生活を優先したい」など、夫婦で治療への考えが異なることがあります。どちらが正しいかを決めるだけでは、話し合いが行き詰まりやすくなります。
治療を続けるか迷う場合は、2人目の不妊治療を続けるか迷ったときのヒント、夫婦のすれ違いが気になる場合は妊活・不妊治療ストレスが夫婦関係に与える影響も参考にしてください。
「ストレスのせいで妊娠できない」と自分を責めないで
不妊や不妊治療が強いストレスになることは確かです。しかし、「焦っているから妊娠しない」「リラックスできない自分のせい」と考える必要はありません。心理的負担と治療結果の関係は単純ではなく、心を整えれば必ず妊娠率が上がると断定できるものでもありません。
心理的支援の目的は、妊娠のために感情をコントロールすることではなく、つらい過程の中で本人の生活や心を守り、納得できる意思決定を支えることです。
心の負担を少し軽くするためにできること
悩みを比べず、感情に名前をつける
「1人いるのだから弱音を吐けない」と抑え込まず、「悲しい」「焦っている」「周囲の言葉に傷ついた」と、今の感情をそのまま捉えてみましょう。感情を認めることと、その感情に従って行動することは別です。
夫婦で話すテーマを分ける
一度の話し合いですべてを決めようとせず、次のようにテーマを分けると整理しやすくなります。
- 何を一番不安に感じているか
- どこまで検査を受けたいか
- 治療に使える時間や費用をどう考えるか
- 育児や通院をどのように分担するか
- いつ治療方針を振り返るか
結論を急ぐ前に、お互いがその考えに至った背景を聞くことが大切です。
周囲への説明範囲を自分で決める
治療について誰にどこまで話すかは、本人たちが決めてよいことです。「今は家族計画について聞かれるとつらいので、こちらから話すまで見守ってほしい」と境界線を伝える方法もあります。
心理カウンセリングを利用する
次のようなときは、妊活・不妊治療に理解のある心理職へ相談することも選択肢です。
- 2人目を望む気持ちに罪悪感がある
- 周囲の妊娠・出産報告がつらい
- 治療を続けるか、休むか、終えるか迷っている
- 夫婦だけで話すとけんかや沈黙になる
- 不安や落ち込みで日常生活にも影響が出ている
カウンセリングでは、治療を続けるよう勧めたり、諦めるよう説得したりするのではなく、本人や夫婦が何を大切にしたいのかを整理し、納得できる選択を支えます。
不妊治療中の心のケアについては、不妊治療とストレス|病院では教えてくれない「こころのケア」でも解説しています。
2人目不妊についてよくある質問
Q.1人目を自然妊娠していても、不妊検査は必要ですか?
A.必要になる場合があります。1人目の妊娠後に年齢や身体、精液所見が変化している可能性があるためです。女性側だけでなく、男性側も同じ時期に検査することが大切です。
Q.1年間試してからでないと受診できませんか?
A.いいえ。35歳以上では6か月が検査開始の一つの目安とされ、40歳を超える場合や月経不順、子宮内膜症、卵管・男性側の問題が疑われる場合などは、より早い相談が勧められます。
Q.帝王切開をしたから2人目不妊になったのでしょうか?
A.帝王切開歴だけで原因を断定することはできません。帝王切開後の子宮の状態が影響するケースはありますが、年齢、排卵、卵管、精液所見など、ほかの要因も含めて評価する必要があります。
Q.ストレスを減らせば妊娠できますか?
A.ストレス軽減だけで妊娠できるとは言い切れません。セルフケアや心理支援は、妊娠を保証するためではなく、妊活や治療による心身の負担を軽くし、生活や意思決定を支えるために役立ちます。
Q.2人目の不妊治療も保険の回数を使えますか?
A.生殖補助医療の胚移植回数は「1子ごと」に上限が設定されています。ただし、年齢やこれまでの治療、治療計画によって扱いが異なるため、医療機関で確認してください。
まとめ|2人目不妊の悩みも、一人で抱えなくてよい
2人目不妊では、1人目を妊娠・出産した経験があっても、現在の年齢や身体の状態、男性側の要因などによって妊娠しにくくなることがあります。35歳未満では1年、35歳以上では6か月が受診の目安ですが、年齢や既往歴によっては早めの相談が大切です。
また、「1人いるのだから」と悩みを小さく扱う必要はありません。今いる子どもを大切に思う気持ちと、もう1人を望む気持ちは、どちらも大切な感情です。
医学的な相談は産婦人科や生殖医療を扱う医療機関へ、罪悪感、焦り、夫婦の温度差など心の負担は心理職へ相談できます。治療するかどうかも含め、自分たちに合う選択を考えていきましょう。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療については、産婦人科・泌尿器科などの医療機関へご相談ください。
参考資料
- World Health Organization(WHO):Infertility
- 日本生殖医学会:不妊症とはどういうものですか?
- American Society for Reproductive Medicine:Fertility evaluation of infertile women
- こども家庭庁:不妊症の検査・治療について
- こども家庭庁:不妊治療の保険適用について
- European Society of Human Reproduction and Embryology:Routine psychosocial care in infertility and medically assisted reproduction
