【妊活・不妊治療中のつらさ】心が折れそうなあなたへ。妊活・不妊治療中に知っておきたいメンタルの整え方
Contents
心が折れそうなあなたへ。不妊治療中に知っておきたいメンタルの整え方
不妊治療は、身体的な負担だけでなく、精神的にも非常にストレスがかかる過程です。期待と失望の波を何度も経験しながら、日常生活を維持することは容易ではありません。この記事では、臨床心理士の視点から、不妊治療中のこころのケアについて、科学的根拠に基づいた対処法を紹介します。
1. 不妊治療がこころに与える影響
1-1. 不妊治療と心理的ストレス
研究によれば、不妊治療中の女性は、がん治療患者と同等レベルの心理的ストレスを抱えることがあると言われています(Domar et al., 1993)。ホルモン治療、採卵や移植の結果待ち、経済的な不安、将来への不透明感…。これらの複合的な要因が「心が折れそう」と感じる原因になります。
1-2. 自責感と孤独感
「なぜ私だけが…」「私のせいで…」という思考は、不妊治療中によく見られる反応です。こうした自責の念は、自己肯定感の低下やうつ状態を引き起こしやすくなります。また、他者に相談しづらい悩みであることから、孤立感も強まりやすい特徴があります。
2. 治療中に取り入れたいメンタルの整え方
2-1. 自動思考に気づき、修正する(認知行動療法的アプローチ)
治療の過程で「もうダメだ」「何をやっても意味がない」といった極端な思考が現れることがあります。これは“自動思考”と呼ばれ、ストレス下で起こりやすい認知の偏りです。
- 思考日記をつけて、自分の思考パターンに気づく
- 客観的な視点から「本当にそうだろうか?」と問い直す
- “白黒”ではなく、“グレー”の思考を意識する(例:「まだ可能性はゼロではない」)
2-2. 感情を安全に表現する
感情を抑え込むことは、心身の健康に悪影響を及ぼします。ときには「泣いてもいい」「怒ってもいい」と自分に許可を出すことが大切です。
おすすめの方法:
- 信頼できる相手や専門家に話す
- 日記や手紙に気持ちを綴る(出さなくてもよい)
- 絵を描く、音楽を聴くなど、非言語的な表現を活用する
2-3. コーピングの幅を広げる
ストレス対処法(コーピング)は人それぞれです。大切なのは「自分に合った方法を複数持っておくこと」。
例:
- 軽い運動(ウォーキング、ヨガ)
- 呼吸法・マインドフルネス瞑想
- 趣味や没頭できる活動
- 一時的にSNSや情報から距離を置く
3. パートナーとの関係性を守るために
不妊治療はカップル双方に大きなストレスをもたらします。お互いの気持ちにズレが生じやすいため、意識的に「対話の場」を持つことが大切です。
話し合いのポイント:
- 相手を批判せず、自分の気持ちを「Iメッセージ」で伝える(例:「私は不安を感じている」)
- 治療の選択や休止について、一緒に考える時間を持つ
- 相手の沈黙を「無関心」と決めつけない
4. 専門的支援を活用する
もし、以下のような状態が2週間以上続く場合は、心理的なサポートを受けることを検討してください。
- 気分がずっと落ち込んでいる
- 意欲が湧かない、何をしても楽しくない
- 不眠や過眠が続く
- 自分を責める思考が止まらない
- 将来に希望が持てない
臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングは、不妊治療中の心理的サポートに効果があることが示されています。病院に併設されていない場合は、専門家が運営するオンラインカウンセリングなどの活用も選択肢の一つです。
おわりに
「心が折れそう」と感じるのは、あなたが一生懸命に頑張っている証拠です。不妊治療中のこころのケアは、決して贅沢ではありません。自分自身を守るために、少しだけ立ち止まり、心と対話する時間を持ってみてください。必要なときは、遠慮せず専門家の力を借りてくださいね。

