プレマタハラとは?妊活中の女性が受けやすい職場ハラスメントを心理士が解説

「まだ子ども作らないの?」
「仕事優先なんだね」
「また病院?」
妊活中や不妊治療中の女性の中には、職場での何気ない言葉や態度に傷つき、強いストレスを感じている人が少なくありません。
近年、こうした妊娠前の段階で起こるハラスメントを「プレマタハラ(プレ・マタニティハラスメント)」と呼ぶようになっています。
妊活や不妊治療は、身体的・精神的・経済的負担が大きい一方で、周囲から見えにくいという特徴があります。そのため、理解されにくく、一人で抱え込んでしまう人も多いのが現状です。
また、通院や治療によって仕事との両立が難しくなり、離職やキャリア断念につながるケースもあります。
この記事では、プレマタハラの意味や具体例、妊活中の女性が感じやすい心理的負担、企業に求められる対策について、臨床心理士・公認心理師の視点からわかりやすく解説します。
Contents
プレマタハラとは?
プレマタハラの意味
プレマタハラとは、「プレ(妊娠前)」+「マタハラ(マタニティハラスメント)」を組み合わせた言葉です。
主に、妊活中や不妊治療中の人が職場で受ける嫌がらせや不適切な言動を指します。
例えば、
- 妊娠を急かされる
- 妊活について詮索される
- 通院に嫌味を言われる
- キャリア上の不利益を受ける
などがあります。
法律上の正式名称ではありませんが、近年は社会問題として注目されるようになっています。
マタハラとの違い
プレマタハラとマタハラは似ていますが、起こるタイミングが異なります。
| 項目 | プレマタハラ | マタハラ |
|---|---|---|
| 時期 | 妊娠前 | 妊娠後・出産後 |
| 主な内容 | 妊活・不妊治療への嫌がらせ | 妊娠・出産による不利益 |
| 起こりやすい場面 | 通院・妊活中 | 産休・育休取得時 |
マタハラは比較的認知が広がってきましたが、プレマタハラはまだ理解が十分とはいえません。
そのため、「悪気なく言ってしまう」ケースも少なくありません。
なぜプレマタハラが増えているのか
背景には、晩婚化や不妊治療を受ける人の増加があります。
現在では、多くの人が妊活や不妊治療を経験しています。しかし、
- 治療の大変さが知られていない
- 妊活をオープンに話しづらい
- 「個人の問題」とされやすい
など、社会的理解が追いついていない現状があります。
また、不妊治療は急な通院が必要になることも多く、仕事との両立の難しさから職場トラブルにつながることもあります。
妊活中の女性が職場で受けやすいプレマタハラの事例
子どもに関する不用意な発言
もっとも多いのが、妊娠や出産に関する何気ない言葉です。
例えば、
- 「まだ子ども作らないの?」
- 「早く産んだ方がいいよ」
- 「高齢出産になるよ」
- 「妊活してるの?」
- 「二人の時間楽しみすぎじゃない?」
こうした言葉は、言った側に悪意がなくても、当事者を深く傷つけることがあります。
妊活中は、周囲の言葉に敏感になりやすい時期でもあります。
通院への理解不足
不妊治療では、急な通院や頻繁な受診が必要になることがあります。
しかし職場では、
- 「また休むの?」
- 「そんなに病院必要?」
- 「仕事に集中してほしい」
- 「みんな忙しいのに」
といった反応をされることもあります。
本人も「迷惑をかけたくない」と感じながら働いている場合が多く、こうした言葉は強い罪悪感につながります。
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キャリアへの圧力
妊活や妊娠を前提に、キャリア面で圧力を受けるケースもあります。
例えば、
- 「昇進したいなら今は妊娠しない方がいい」
- 「責任ある仕事は任せにくい」
- 「どうせ辞めるんでしょ」
などです。
これは本人の意思や希望を無視した対応であり、大きなストレスになります。
プライバシー侵害
妊活や不妊治療は非常にプライベートな問題です。
しかし、
- 治療状況を勝手に共有される
- 「不妊治療してるらしいよ」と噂される
- 詳細をしつこく聞かれる
など、プライバシー侵害が起こることもあります。
本人の同意なく情報を共有することは避けるべきです。
女性だけに負担が偏る空気
妊活や不妊治療は、女性だけの問題として扱われがちです。
しかし実際には、男性側にも不妊の原因があるケースは少なくありません。
それにもかかわらず、
- 「女性が頑張るもの」
- 「男性は関係ない」
- 「女性側が調整すべき」
という空気が、女性に大きな負担を与えてしまうことがあります。
プレマタハラで傷つきやすい理由
妊活中は精神的負担が大きい
妊活や不妊治療中は、強いストレスを抱えやすい時期です。
例えば、
- 「早く結果を出したい」という焦り
- 周囲と比較してしまう苦しさ
- 自分を責める気持ち
- 将来への不安
などを抱えることがあります。
そこに職場ストレスが重なることで、心身の負担がさらに大きくなります。
治療の結果が見えない苦しさ
不妊治療は、努力すれば必ず結果が出るものではありません。
頑張っても妊娠につながらないこともあり、「コントロールできない苦しさ」を抱えやすい特徴があります。
そのため、周囲の何気ない言葉が強く刺さってしまうことがあります。
周囲に相談しづらい
妊活は非常にデリケートなテーマです。
- 「理解されないかもしれない」
- 「評価に影響しそう」
- 「迷惑だと思われそう」
という不安から、一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。
プレマタハラが心や仕事に与える影響
メンタルヘルス不調
プレマタハラによって、
- 抑うつ
- 不安
- 睡眠障害
- 自己肯定感低下
などにつながることがあります。
「会社に行くだけでつらい」と感じる人もいます。
仕事のパフォーマンス低下
強いストレス状態では、
- 集中力低下
- 疲労感
- ミス増加
なども起こりやすくなります。
離職やキャリア断念
実際に、妊活と仕事の両立が難しく、退職を選ぶ人もいます。
本来は続けたい仕事であっても、「もう限界」と感じてしまうことがあります。
プレマタハラを防ぐために企業ができること
妊活・不妊治療への理解促進
まず重要なのは、「知ること」です。
- 管理職研修
- ハラスメント教育
- 妊活・不妊治療への理解促進
などを通して、無理解による言動を減らす必要があります。
相談しやすい環境づくり
「安心して相談できる環境」は非常に重要です。
例えば、
- 相談窓口の設置
- 外部カウンセラー活用
- 心理的安全性の高い職場づくり
などが有効です。
柔軟な働き方を整備する
妊活や不妊治療では、柔軟な働き方が大きな支えになります。
- 時差出勤
- リモートワーク
- 時間単位休暇
- 通院休暇
などを整えることで、両立しやすくなります。
プライバシー保護を徹底する
妊活や治療に関する情報は、本人の同意なく共有しないことが基本です。
安心して働ける環境づくりには、信頼関係が欠かせません。
妊活中の女性が自分を守るためにできること
一人で抱え込まない
妊活中は、「頑張らなければ」と無理をしやすい時期です。
しかし、誰にも相談できない状態が続くと、心が限界を迎えてしまうことがあります。
- パートナー
- 信頼できる友人
- 医療者
- カウンセラー
など、安心して話せる相手を持つことが大切です。
心のセルフケアを意識する
「つらい」と感じる自分を否定しないことも大切です。
妊活中は感情が大きく揺れることがあります。
だからこそ、
- 頑張りすぎない
- 完璧を求めすぎない
- 休むことを許す
という視点も必要です。
プレマタハラは「個人の問題」ではない
プレマタハラは、個人だけの問題ではありません。
妊活や不妊治療をしている人が安心して働ける環境づくりは、
- 離職防止
- 女性活躍推進
- 健康経営
- 心理的安全性向上
にもつながります。
誰かを特別扱いするのではなく、「誰もが安心して働ける職場」を目指すことが重要なのかもしれません。
まとめ|妊活中の人が安心して働ける社会へ
プレマタハラは、妊活中の人を深く傷つける見えにくいハラスメントです。
何気ない言葉でも、相手にとっては大きな負担になることがあります。
だからこそ、
- 正しい知識を持つこと
- 想像力を持つこと
- 安心して相談できる環境を作ること
が大切です。
妊活と仕事の両立に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、信頼できる相手に相談してみてください。
また企業側にも、「安心して働ける職場づくり」の一環として、プレマタハラへの理解と対策が求められています。
■ 法人・団体向け研修を行っています
当オフィスでは、企業・団体向けに、
- ハラスメント研修
- メンタルヘルス研修
- セルフケア研修
- 妊活・不妊治療に関する研修
などを実施しています。
臨床心理士・公認心理師が、心理学の視点から「現場で活かせる内容」をわかりやすくお伝えします。
